primrose
高校生までの、なんでもそつなくこなす王子様みたいな福井くんが大好きだった。
冷めてるように見えて内にギラギラした熱いものを秘めてる福井くんが大好きだった。
高校生までの福福は正真正銘背中合わせで。
努力の大晴、センスの宏志朗。「ほんまに真逆やな」って自分達でも言ってた。
福井くんが1年先に高校生になって、ハンドボール部に入った。大晴くんもまるで後を追うように同じ理系選択、そしてハンド部へ。文転したし、両立できなくて辞めちゃったんだけどね。
クールで器用な福井くんを、尻尾振って追いかける大晴くんが可愛くて。
福本担をしてると福井くんってパーフェクトな超人そのものに見えた。
だから過度に期待してたのかもしれないし、今でもこんなにわがままになってしまう。
大学受験のために活動休止した福井くん。
「待ってなくていい、0から始めるから」って言葉を信じた。翌年、彼は浪人して退所した。
そこからのことはあんまり思い出したくないし、あえて離れてたので詳細は省く。
大晴くんの誘いでジャニーズに復帰して福福復活って話題になったり、やっとまた一緒になれたと思ったら大晴くんがAぇ! groupに選ばれてバラバラになったり。
当時の対談で印象的だった部分を引用しておく。
福本:僕も“福福”でまた一緒にやりたいとずっと思ってたよ。もう勝手に消えんといてや。
福井:こうして戻ったからには、もう消えるわけにはいかんし!
福本:なんか性格変わった!?昔は結構冷たかったけど、人間味が増して柔らかくなったような。
福井:そうかなあ(笑)
(2018年5月26日 産経新聞より)
彼の言葉は「大晴と違って将来やりたいことがないから、ジャニーズと学業を両立させながらなりたい自分を探したい。」と続いた。
以前の福井くんだったらそんなこと言ったかな。それすらもよく分からない。
とにかく帰ってきた福井くんは違う人みたいだった。
やたら物腰柔らかくなって、ヘラヘラ笑うようになって。年下の子達に混ざって踊る姿なんて見たくなかった。大晴くんじゃない誰かが隣にいるのすら見たくなかった。
仕方ないのだと分かっていてもいちいち苦しくなる。私が好きなのは、礼儀正しいけどプライドはあってブレない福井くんだったのに。
焼きそばみたいなパーマ、やめてよ。
似合わないパーカー捨てなよ。
舌出して裏ピースなんてお行儀悪いよ。
無理して大学生になってるみたい。
そんな独りよがりなエゴを押し殺して、黙って見ていることが増えた。
関西Jr.初の京セラ公演。
2020年初めての福井くん。
この場所に福井くんがいることが本当に嬉しかったし、福福の絡みをどこか期待して関東から足を運んだ。
白いジャケットを靡かせて登場した
歌詞が痛々しいくらい9人にリンクしてた。
ほぼ無意識のうちに、「宏ちゃん、宏ちゃん」ってセンステに叫んでた。同行者にドン引きされた。
高みへ連れてって。そう思った。
担当でもないのに胸が張り裂けそうになった。
セットリストのひとつ前は3グループが特に気合いを入れたという曲で、激しい特効が飛び交っていた。
対して彼らは真っ白な衣装とシンプルな演出。
それでも、この日いちばん引き込まれたのは間違い無くこのステージだったと言い切れる。
惜しみなく繰り出されるアクロバット。
一音一音に持てる全てをぶつけるようなダンス。
そして、瞳の奥の熱さ。
それこそがどんなに派手な演出にも負けないほど彼らを輝かせていた。
私はこのパフォーマンスに、“ジャニーズJr.”の真髄を見た気がした。
約3時間の公演中、大晴くんは絡むどころか目すら合わせていなかったと思う。
福井くんはもちろん、所謂「無所」9人は今が正念場だ。
戻ったからには、僕も他の人にはない自分だけのものを見つけなあかんな。
どんな顔をしてそう言ったのか。私なんかには到底想像の及ばない覚悟で戻ってきたであろう福井くんを信じたい。
男子高校生の福井宏志朗は死んだ。
いつか福井くんの「自分」が見つかったら、私はそれがどんな形でも応援したい。
“No matter what anybody says you’ll always be a prince to me.”